「ライフ・ウィズ・バイスクル」自転車のある暮らし

「ライフ・ウィズ・バイスクル」自転車のある暮らし

都心部では最近、通勤手段を電車やバスから自転車に切り替えている人が多いですよね。特に、コロナ禍でも職場へ行かなければならないサラリーマンの間で自転車の利用が増えているそうです。

通勤手段を自転車に切り替えるメリットはいろいろありますが、一番は満員の電車やバスでのストレスを軽減できることでしょう。

イギリスの心理学者・David Lewis博士が行った有名な調査では、戦闘機のパイロットや機動隊の隊員よりも、電車通勤する人の方が強いストレスを感じていることが分かっています。

調査では、通勤者125人の心拍数および血圧と、トレーニング中のパイロットや機動隊の隊員の心拍数および血圧を比較。その結果、電車通勤をしているサラリーマンは日ごろからストレス対策を行っていないため、通勤によってストレスが悪化してしまうそうです。

楽天やはてなでも自転車通勤が推奨されている

日本では、以前から自転車通勤者を増やそうとする積極的な動きが始まっています。2017年5月に自転車活用推進法が施行され、国土交通省に「自転車活用推進本部」を設置。そして今年4月、企業活動における自転車通勤や業務利用を拡大するため、「『自転車通勤推進企業』宣言プロジェクト」を創設しました。

このプロジェクトは、自転車通勤を導入する企業・団体を自転車活用推進本部長(国土交通大臣)が認定し、自転車通勤の取り組みを広く発信していくものです。

先日、自転車通勤を積極的に推進する「宣言企業」の初回認定企業が発表されました。大手自転車部品メーカーのシマノ株式会社やブリヂストンサイクル株式会社、世界に誇る日本のIT企業・楽天株式会社や、ITベンチャーの株式会社はてな、顕微鏡トップメーカーの日本電子株式会社など、名だたる企業が自転車通勤を推進しています。

ストレスの軽減だけでなく、健康的なからだづくりも可能

自転車は通勤によるストレスを軽減するだけでなく、健康的なからだづくりにも大きく貢献できます。1日15分間・週5日ペダルをこぐだけで、1年で約5kg分の脂肪を燃焼することができるそうです。サイクリングを習慣的に行うだけで、大腸がんや乳がんなどのリスク軽減につながるとも発表されています。

また、自転車は全身を使った有酸素運動ができるため、心肺機能の強化やダイエット効果が期待できるとも言われています。ジョギングやランニングに比べて足や膝への負担が少なく、ケガをしにくい点も自転車のメリットとして挙げられます。

自転車好きとして有名な伝説のロックミュージシャン、故・忌野清志郎さんが自転車を始めたきっかけも、体力をつけるためだったそうですよ。

病気の予防や抑うつ症状への効果も期待できる

自転車に乗ることで病気の予防や改善ができることもわかっています。普段から自転車に乗っていると、少ない量のインシュリンで効率よく血糖値が下がり、糖尿病の予防効果があるそうです。また、善玉コレステロールが増加して血液の流れが良くなり、動脈硬化・心筋梗塞などの生活習慣病の予防も可能。体内のリンパ球が増加して免疫力を高め、病気に強いからだづくりもできるのです。

さらに最近の研究では、自転車に乗って景色を見ながら気持ちよく走ることで、精神的に良好な状態になって抑うつ症状に効果があることもわかっています。

日常生活で自転車を使うことによって、心身ともに健康な状態を維持できることがお分かりいただけたと思います。

自転車は私たちのからだを変え、生活を変え、そして人生を変える

私はかつて病気で手術をする際、お医者さんに「手術を前に心肺機能を高めた方がよい」と言われて自転車を勧められました。その言葉がきっかけで自転車を始め、健康を取り戻してからも自転車との付き合いは続いています。自転車販売店での勤務を経て、今ではこうして「Velow’s(ヴェローズ)」を楽しく運営しているのです。

自転車は私たちのからだを変え、生活を変え、そして人生を変えてくれる可能性を秘めているといっても過言ではありません。まだ自転車に乗ったことのない人は、まずは自転車に乗って体を動かすことの楽しさを知ってほしいと思います。既に自転車を乗っている方は、通勤手段や移動の手段としても自転車を活用し、心身ともに健やかな状態でサイクルライフを楽しんでみてはいかがでしょう。