日常生活の移動を快適にサポートしてくれる自転車。
通勤手段を電車やバスから自転車に切り替えている人も多いですよね。
しかし、自転車の利用者が増えるに連れて、自転車が関わる交通事故が多発しているという現状があります。
警視庁が発表している「道路の交通に関する統計」によると、2019年に全国で発生した自転車関連事故数は年間で8万件以上にものぼりました。
一日に平均で200件以上も自転車関連の事故が発生していることになります。
また、2019年の東京都内の交通事故における自転車関与率は39%。
過去5年間で最も高い数字を記録しています。
こうした状況もあり、現在では過半数の都道府県で自転車保険の加入が義務づけられたり、強く勧められたりしています。
近年は「ながらスマホ運転」の自転車事故が増加
近年はスマートフォンの普及により、スマートフォンを操作しながら自転車を運転する人が増えています。
しかし、スマホを見ながらの運転は前方の状況が確認できず、ハンドル操作を誤ることもあるので非常に危険です。
当然、「ながらスマホ」による自転車事故の発生は増加傾向にあります。
過去には、自転車に乗りながらスマホを操作していた20歳の女子大生が歩行中の77歳の女性と衝突し、歩行者が死亡するという事故が話題となりました。
女子大生は、イヤホンをしながら、左手にスマホ、右手に飲料カップを持っていたと言われています。
こうしたスマホ事故の増加に伴い、2018年には道路交通法改正によってスマホを見ながらの「ながら運転」の厳罰化が認められました。
ひょっこり男からウーバーイーツまで危険運転多発
埼玉県警が自転車で車の前に飛び出すなど、故意に危険な運転を繰り返していたとして男を逮捕しました。改正道交法のあおり運転容疑を自転車に初適用で、地元住民らからは「ひょっこり男」と呼ばれていました。
また、最近はウーバーイーツなどの自転車宅配サービスによる自転車関連事故の増加も注目されています。
ウーバーイーツの日本法人「ウーバーイーツジャパン」によると、ウーバーイーツと契約する飲食店数は全国で2万店を超えたとのこと。
契約店舗が増えれば、必然的に配達員の数も増えます。
配達員の数は非公表ですが、サイクリングしながらバイト感覚で稼げる「食事版メッセンジャー」として人気を集めているのは事実です。
しかし、配達員の増加に伴って配達員による危険な運転や事故、交通違反が増え「自動車専用道を自転車で走ってる」「信号無視をしていた」「歩道でぶつかりそうになった」などの批判も相次いでいます。 配達員はスマホを見ながら走っていることが多いため、車や歩行者にぶつかってしまうケースも増えているのです。
事故を起こした場合の法的責任は?
もし自転車の走行中に交通違反をしたり、事故を起こしたりした場合には、どのような責任に問われるのでしょうか?
自転車は道路交通法上の軽車両にあたり、法律違反による事故を起こすと刑事上の責任が問われ、相手に怪我を負わせた場合には民事上の損害賠償責任も発生します。
未成年者でもその責任を免れることはありません。
過去の裁判では、中学生や高校生に数千万円の損害賠償額の支払いが命じられたケースもあります。
もし事故により相手に怪我を負わせた場合、刑事上の責任として過失傷害の罪などに該当します。
万が一相手を死傷させれば重過失致死傷罪に問われます。
また自転車のルール違反は道路交通法違反に問われ、罰金刑を科せられることもあります。
ルールの徹底と、万が一に備えて自転車保険に加入しましょう
自転車による事故を減らすために、まずは正しく交通ルールを知る必要があります。
そして、きちんとルールを守り、周囲に気をつけて運転することが重要です。
それでも不慮の事故が起きてしまう場合があるので、万が一に備えて自転車保険に加入しましょう。
自転車保険は、個人賠償責任保険と傷害保険がセットになっています。
個人賠償責任保険は、他人に怪我をさせたり、他人のモノを壊したりするなど、法律上の賠償責任が発生した場合に支払われる保険のことです。
裁判になった場合、弁護士費用を補償してくれる特約などが付帯していることもあります。
傷害保険では、自分が被害にあった際の治療費に関する給付金が支払われます。
自転車保険で万が一に備えたうえで、交通ルールを守って安全運転を心がけましょう。