いまさら聞けない?ホイールの話

いまさら聞けない?ホイールの話

ホイールに関して初心者ベテラン問わず、ホイール重量の事はよく聞かれます。
全体としてホイールの重量など「これ何グラムですか?」とよく聞かれるんですが、同じ1000gのホイールでもリムが重いかハブが重いかで違ってくるので、ホイールだけの重量はあまり重要ではありませんとお答えしています。
単純に軽くしたいだけなら持って軽いでいいのですが、軽さを走り視点だけで考えたら選ぶ車輪も違ってきます。
走り目線でホイールをみると、車輪の一番外側のリムとタイヤの総重量が10グラム軽くなれば、車体本体で100グラム軽いのと同等の走り加速感が得られます。
ホイールは、どんな走り方をするのかで違ってくるのです。

ホイールの基礎知識

自転車の車輪のことホイールといいます。
ホイールは中心部にある回転体である「ハブ」、ハブのトルク(回転力)をリムに伝える「スポーク」、チューブの土台になる「リム」からできています。
ホイールには好みの部品を組み合わせて組み立てる「手組ホイール」と、組まれた状態で売られている「完組ホイール」とがあります。
手組ホイールと完組ホイールにはそれぞれメリットやデメリットがあり、最終的には乗り心地に関わってくる大切なパーツです。
市販品の完組ホイールはどんな人が乗ってもある程度は走れるようになっています。
一方、手組みの場合はその人に合わせてのオーダーメード、ハブも選んでスポークの本数やリムの高さ、リムの幅を選んで、その人の好きなように組み立てます。
今日は「手組ホイール」をメインにお話します。

ホイールの組み方「ラジアル組」と「タンジェント組」

ホイールはバブとリムをスポークで連結することで組み上げます。
この組み上げるのにスポークをどうするか、どんなパターンでスポークを組むかがホイールの性能と乗り心地を決めます。
このパターンにハブからリムにかけて、スポークをクロスさせず放射状に伸す「ラジアル組」と、スポークをクロスさせて伸ばす「タンジェント組」があります。
さらに「タンジェント組」には「JIS組」と「逆JIS組」、「イタリアン組」と「逆イタリアン」に分類されます。
また、タンジェント組にはスポークの重なりでハブの根元から数えて4本組はツークロスは、6本組はスリークロスは、8本組はフォークロスという組み方があり、これらをどう組み合わせて組むかが「手組ホイール」の楽しみであり醍醐味とも言えます。

ラジアル組とタンジェント組のメリット・デメリット

ホイールはそれぞれの特性を利用して組み合わせて組むので、ラジアル組とタンジェント組のメリットやデメリットはしっかり理解しておいた方がいいと思います。
留意点とし申し上げたいのですがメリットは良い点でデメリット悪いなど、言葉としてのメリットやデメリットではなく、それぞれの組み方の”長所をいかす”というご理解の方がいいかと思います。
例えば小径車の場合、小径車も大きい自転車と同じパーツで組みますが、ストロークが短いので組み方をちゃんと理解していないと上手く転がりません。
その上でメリット・デメリットを一言でいうと、ラジアル組はスポークを重ねず伸ばすので重ねない分ホイールは軽くなる。
一方のタンジェント組の場合、スポークを重ねて組むので重たくなる。
これがラジアル組とタンジェント組のメリットでありデメリットでもあるのです。

性をいかしたホイールの組み方とは

スポークが多いと1本1本が風を切り裂くので空気抵抗の負荷が多く、スピードに影響するのでレース車には不向きです。
スポークを少なくした状態でタンジェント組、イタリアン組にすると剛性が弱くなりとても危険です。
ということは空気抵抗の大きいフロント車輪は20本以下でラジアル組みにして、空気抵抗が少なく駆動力である後輪はタンジェントのイタリアンになります。
ラジアル組はスポーク数が少なく硬いのでレーシングな走りに向いています。
タンジェント組はスポークの本数が多いので柔らかく乗り心地もよく、さらに剛性も期待できるので駆動の掛かりを考えると後輪に向きといえます。
デメリットをメリットに変える方策としては、強度の高いリムやスポークを使うことで、スポーク数を少なくして軽量化や空気抵抗対策も可能ですが、こちらはお財布とにらめっことなります。

ホイール選びで考えること

「手組ホイール」か「完組ホイール」のどっちがいいのか。
意見は分かれるところですが、ヴェローズでは手組ホイールの魅力の本質は「粋」なカッコ良さにあると考えています。
メーカーも機械で車輪を組むのは無理なので、完組も最後は手組みでやってます。ですから単純に手組がいいという話ではありません。
量産モノには量産モノの良さがあって、例えばレースに勝つことを考えれば近道かもしれません。
逆に楽しみながら乗る、ファンライドという意味で考えた時にはメーカー品より手組みがおすすめです。
ラジアルとタンジェントを上手く組合わせることで自分に合った、普通の人が普通の脚力で踏み込んでグッド進むという感覚が分かるような組み方。
求めるのはスピードなのか勾配のきついオフロードを走るのか、それともゆったり街なかを楽しみながら走るのか。
ここで大事なのが”こぎ心地”というか、ペダルを踏んだ時の”踏み心地”ではないかと思います。
ペダルを踏んだときに”グッ”と自転車が進む、踏んだぶんだけ進む加速感。
柔らか目のクロモリのフレームに、柔らかめに組んだ手組のホイールをはいて、グッド踏み込んで車体をしならせながら進む気持ちいい走り。
手持ちのフレームとホイールとを組み合わせて楽しむという「粋」なカッコ良さ。これがホイール選びで一番大事なところで、オーダーの良さであり、手組みの良さだと思います。